膝のスポーツ障害

膝のスポーツ障害

膝関節の構造
オスグッド・シュラッター病
ジャンパー膝
ランナー膝
腸脛靭帯炎
鵞足炎
半月板損傷
膝の靭帯損傷


足のスポーツ障害

足のスポーツ障害

足関節と周囲の構造
シン・スプリント
テニス脚(肉離れ)
足関節捻挫
アキレス腱炎
足底と甲の痛み
外反母趾



膝関節の構造

膝の前面 膝の後面

最初に筋肉の説明を致します。
左図は膝の前面です。
ご覧のように何層にも筋肉が走行していますが、ほとんどが膝を伸ばすときに使う筋肉で、下にある丸い骨がお皿です。

右図は膝の後面になります。
前面とは逆に膝を曲げるときに使う筋肉が何層にも走行しています。


膝の前面 膝の後面

今度は骨と靱帯、軟骨の説明です。
左図は膝を90度に曲げた右足を前から見た図になります。

向かって左側のスジが外側側副靭帯、反対側が内側側副靭帯で、真ん中に斜めにあるスジが前十字靭帯です。

右図は後面からの図で、膝は伸びた状態です。真ん中にあるスジが後十字靭帯で、上下の骨の間にあるモノが外側と内側の半月板でクッション材の役目をしています。

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オスグット・シュラッター病

膝の前面

小中学生のスポーツ選手に好発する。

症状は、膝のお皿の下に痛みが出る。曲げると更に痛み、押しても痛い。コブができる。
成長段階で骨がまだ出来上がっていないため、図のように靱帯の付着部が引っ張られることにより付着部が剥がれるため、見た目にはコブが出来たように見える。

治療は第一に生理的局所冷却で患部の炎症を最小限に抑え、前面の筋肉の筋緊張を取こと。ここまでは通常の治療です。

大事なのは骨盤の機能障害をきちんと治すこと「骨盤の調整」です。

前面の筋肉の図にある真ん中の大きな筋肉がお皿を経由して靱帯になり付着し、上は骨盤に付着しています。 このため骨盤の後ろへの傾きがあると、筋肉をいくら弛めても引っ張り力が消えないのです。

さらに、特殊なテーピングで補完し、プレー中のクセや日常動作まで指導することにより、早期治癒と今後の障害リスクを減少させます。

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ジャンパーズ・ニー

膝蓋靭帯

バスケットボールやバレーボールなど、ジャンプが多いスポーツ選手に好発する。(と、いわれている)

症状はオスグット・シュラッター病と同様ですが、膝下のコブではなく図の赤丸に出てきます。
(オスグットの前段階で症状が出ることもある)
純粋なジャンパー膝であれば、オスグット・シュラッター病と同様な治療で治ります。

臨床上は様々なパターンがあり、競技の種目と、痛みの場所に固着し、定型的な治療を続けても改善しないことが多い疾患です。

治療は生理的局所冷却が第一選択で、骨盤の機能障害の検査はもちろんですが、足のアーチ・足首・膝・股関節・骨盤のアライメントを絶妙に調整することが必要です。各部にテープによる補完、競技別にフォームや日常動作の指導で、早期治癒と今後の障害リスクを減少させます。
オスグット・シュラッター病より複雑なため、長引き、痛みを誤魔化して競技を続けている選手が多いと感じます。

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ランナーズ・ニー

膝蓋靭帯

ランナーの膝の前面に出る痛みで、お皿の前内側や前外側、あるいはお皿の裏面に出る症状である。

前内側の痛みは、お皿の中にある滑膜のヒダの伸長あるいは引っかかりが原因で発症することがある。

前外側の痛みは、お皿を抑えている膜(支帯といいます)神経の障害や、お皿の外側に無理な力が加わることで摩擦し生じたりする。

お皿の裏面の痛みは、お皿と大腿骨の間にある軟骨が傷害することで生じる。(膝蓋軟骨軟化症ともいいます)

治療は生理的局所冷却が第一選択で、骨盤の機能障害の検査はもちろんですが、足のアーチ・足首・膝・股関節・骨盤のアライメントを絶妙に調整しお皿の動きを正常化することが必要です。各部にテープによる補完、競技別にフォームや日常動作の指導で、早期治癒と今後の障害リスクを減少させます。

膝蓋軟骨軟化症を発症した場合は、構造障害(軟骨そのものが壊れてる)になります。治療期間は長期になりますが治りますのでしっかり治療することが必要です。

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腸脛靭帯炎

腸脛靭帯炎

長距離ランナーやサイクリスト、スキーヤーなどのアスリートに発症しやすい。

左図の緑で細長くマークしている場所が腸脛靭帯というスジです。膝の屈伸時に矢印の方向へブレが出ると、赤丸の場所で大腿骨の端と摩擦して痛みが生じます。

治療は生理的局所冷却が第一選択で、骨盤の機能障害の検査はもちろんですが、足のアーチ・足首・膝・股関節・骨盤のアライメントを絶妙に調整し膝のブレをなくすことが必要です。各部にテープによる補完、競技別にフォームや日常動作の指導で、早期治癒と今後の障害リスクを減少させます。

痛みを誤魔化しながらプレーをつづけると、外側半月板の障害が生じやすくなります。しっかり治療しましょう。

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鵞足炎

鵞足炎

サイドステップ時のカッティング動作が多いスポーツで生じることが多い。
左図の緑で細長くマークしている場所が縫工筋です。他に薄筋、半腱様筋とあわせて赤丸の場所(鵞足)に着きます。
膝の屈伸時に矢印の方向に捻りが出ると鵞足にある滑液包(潤滑油の入った袋)が摩擦して痛みが生じます。

治療は生理的局所冷却が第一選択で、骨盤の機能障害の検査はもちろんですが、足のアーチ・足首・膝・股関節・骨盤のアライメントを絶妙に調整し膝の内側への捻りを制御することが必要です。各部にテープによる補完、競技別にフォームや日常動作の指導で、早期治癒と今後の障害リスクを減少させます。

無理をしていると、内側半月板の障害、膝蓋軟骨軟化症を引き起こす可能性があります。

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半月板損傷

半月板損傷

膝関節のクッション材的な役目をしている軟骨で、若いスポーツ選手は左図の下のようなバケツ柄断裂、年配のスポーツ選手では上のflap状断裂を生じることが多い。

バケツ柄断裂では、ロッキングを起こす事が多く、膝が伸びなくなります。
flap状断裂では、膝の屈伸時にパキッといった関節音がすることが多い。(関節音がするからすべて半月板損傷というわけではありません)負傷時の状況や腫脹の程度、徒手テスト、画像検査で診断します。

私自身が25歳の時にスキーで膝を負傷し、現在も左膝の内側半月板がバケツ柄損傷になっています。膝の使い方や負担をかけた後にフォローをしていれば日常生活は問題ありません。(現在もスキーは続けています)

治療は生理的局所冷却が第一選択で、膝関節と半月板の整復、一定期間患部の安静が必要で、膝の捻りを制御する動きを習慣化させることが必要です。
保存療法により日常生活で支障のない状態になりますが、内視鏡による外科手術を薦める場合もあります。

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膝の靭帯損傷

靱帯損傷

膝関節には内外側の側副靭帯・前後の十字靭帯があります。
様々なスポーツで発生し、それぞれの靱帯に過度の外力が加わり損傷します。微少断裂から完全断裂まであり、受傷時の状況、腫脹の程度、徒手テストで通常診断できますが、受傷すぐには筋緊張が強く徒手テストで発見出来ない場合もあります。

左図は最悪パターンの内側側副靭帯、前十字靭帯、半月板損傷の複合損傷で、強力な外力により膝から下が外に捻られた時に損傷します。

私自身の左膝がこの状態です。25歳の時にスキーで負傷しましたが、保存療法でも日常生活では支障はありません。(正座も出来ますよ。ジャンプの着地はだめですが)

通常、前十字靱帯完全断裂や複合損傷の場合は手術を薦めますが、アスリートでなければ、保存治療も可能です。生理的局所冷却を第一選択にして、膝関節の整復、一定期間患部の安静による保存療法で問題ないと思います。どちらも経過観察し、「危ない」膝かどうか判断してからでも手術は出来ます。

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足関節と周囲の構造

足の前面 足の後面

最初に筋肉の説明を致します。
左図は足の前面です。
何層にも筋肉が走行しています。筋肉から細い腱になって足の指や甲に付着し、足首を持ち上げたり、指を伸ばす運動を行います。

右図は足の後面になります。
前面とは逆に足首を伸ばす時に使う筋肉で、筋肉からアキレス腱になり踵に付着します。



足底の筋肉1 足底の筋肉2

左図の足裏の筋肉は表面に近い方で、踵骨(踵の骨)から指に付着し、指を曲げる運動と足首を伸ばす動きの助けをしています。

右図を見ると横や斜めに走行している筋肉が見えます。これらは足の縦横のアーチ(土踏まず)を支え、板バネのようにショックを吸収します。



足の骨格 下腿の骨格

今度は骨と靱帯の説明です。
左図上は右足の外くるぶし側から見た図になります。たくさんの靱帯があるのが分かると思います。

左図下は内くるぶし側から見ています。こちらのスジの方が太いですね。

右の図は足首から膝までの骨で、細い骨が腓骨といい外くるぶしと関節し、太い骨が脛骨(向こう脛)で内くるぶしと関節しています。脛骨が膝下の支柱になっているので、内くるぶしの靱帯の方がしっかりした構造になっています。

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シン・スプリント

シン・スプリント

シン・スプリントはアスリートの下腿に生じる骨膜炎、筋炎、腱炎やこれらの合併症をいいます。
前部に起こるものと後内側に発症するものがあります。

緑印に発症するのが前部シン・スプリントで、筋肉の痛み、こわばり感や足首の動きで痛み増すことが多い。ランナーに多く発症します。

赤丸部分に痛みが出るのが後内面シン・スプリントで、前部シン・スプリントよりも多い。足首と膝、股関節の連関の悪い使い方が原因で、ランナーに限らず様々なスポーツで生じます。

治療は第一に生理的局所冷却で患部の炎症を最小限に抑える。筋肉の筋緊張を取ること。 骨盤の調整をすることで足の振りやクセを治します。ただし、前部と後内面で発症メカニズムが違うので治療する場所が変わってきます。

さらに、特殊なテーピングで補完し、プレー中のクセや日常動作まで指導することにより、早期治癒と今後の障害リスクを減少させます。

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テニス脚(肉離れ)

テニス脚良いサーブ

名前の通りテニスで中年以降の選手に好発します。

サーブやスマッシュの際、ふくらはぎに急に痛みが生じ、ボールが当たったのかと思うような感じがし、ひどい場合は局所に腫れ、内出血が現れます。

再発防止や予防には、画のようにサーブやスマッシュのように高い打点の際、出来るだけ前方で打つことです。

治療は生理的局所冷却が第一選択で、筋緊張と痛みの除去に物療やストレッチ、テープによる補完、フォームや日常動作の指導で、早期治癒と今後の障害リスクを減少させます。

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足関節捻挫

足関節捻挫 載距突起

スポーツ全般、日常で多い外傷です。

内がえし捻挫では左図の緑のマーキング部分の靱帯を損傷します。外がえし捻挫では赤丸部分の靱帯を損傷します。
青丸は載距突起といい(拡大したのが右図です。)踵の骨の一部で、上にあるのが距骨、そこに脛骨(すねの骨)が乗ります。

捻挫の後遺症で緑の矢印方向に関節が開き載距突起が赤い矢印の方向に落ちてしまうと、足関節周囲のアライメントが狂ってしまいます。後遺症のある方は扁平足になり、パフォーマンスが低下します。

治療は生理的局所冷却が第一選択で、載距突起の落下を防ぎアライメントを絶妙に調整することが必要です。テープによる補完、損傷がひどいとギプス固定になります。足の使い方の指導をすることで、早期治癒と今後の障害リスクを減少させます。

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アキレス腱炎

腸脛靭帯炎

ランナーやサイクリスト、剣道、バスケット、バレー、テニスなどアスリート全般に発症します。

アキレス腱に引っ張りや、踵の捻れなど力学的ストレスがかかることで炎症を起こし、腫れと痛みが出てきます。
無理をして使っていると、コラーゲンの合成が少なくなり腱が弱くなってしまいます。

治療はコラーゲンを守るためにも生理的局所冷却が第一選択です。骨盤の調整・下腿の筋肉とアキレス腱のトリートメントが必要です。テープによる補完、フォームや日常動作の指導をすることで、早期治癒と今後の障害リスクを減少させます。

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足底と甲の痛み

鵞足炎

左図青丸に生じる痛みは、凹足(ハイ・アーチ)で、指の付け根に動きの支点を置く事の多いアスリートに生じやすい。皮下にある滑液包や組織が炎症を起こしたり、神経を刺激してシビレを生じたりします。

オレンジ丸では、足底筋の筋膜炎や挫傷(肉離れ)・外脛骨(内くるぶしの少し遠位の骨が飛び出てくる)・オーソティクス(中敷き)に強く接触したりして生じます。

赤丸に生じる痛みは、骨棘(足底筋付着部に棘ができる)が多いが、アーチが崩れることによっても生じます。

緑丸に生じる痛みで上部の場合は、シューズが擦れて生じる・ふくらはぎの筋疲労・アキレス腱炎の前段階などがあり、下部では、踵の脂肪層の挫傷や、アーチが崩れることにより、接地点が変わることで生じたりします。

足の甲に生じる痛みは、アーチの崩れによる関節炎・中足骨の疲労骨折・シューズの擦れ・打撲などがあります。

治療は生理的局所冷却が第一選択です。足のアーチ・足首のアライメント調整を重点に置き、骨盤の検査と場合によっては調整も必要になります。青丸での痛みやしびれ・オレンジ丸の骨棘では特別な治療器具を使った処置で早期治癒が見込めます。 各部にテープによる補完、競技別にフォームや日常動作の指導で、早期治癒と今後の障害リスクを減少させます。

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外反母趾

外反母趾

外反母趾というと、ハイヒールを履く女性の疾患といったイメージがあると思いますが、アスリートにも多いです。最近は子供に多くなっています。

親指の間に挟む装具がありますが、ハッキリ言って治りません。
指が単純に曲がっただけではなく、甲にある長い骨を中足骨といいますが、その中足骨に捻れが発生しているのです。その証拠に足底にある小さい骨が外側に回り込むため、指は曲がりづらくなり、さらに出っ張って腫れてきます。

治療は生理的局所冷却が第一選択で、第1中足骨(親指)の整復が必要です。
長期間の不良歩行がありますので、足のアーチ・膝・股関節・骨盤の検査・調整とテープによる補完、フォームや日常動作の指導をすることで、早期治癒と今後の障害リスクを減少させます。

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